年末、お疲れ様です。
僕はというと、11月末に風邪を引き、治ったと思いきや、またぶり返して、締切があるというのに、昨日まで寝込んでいました。切実に年末だけ風邪ひく病を辞めたいのですが、どうすればいいのでしょう。今年はそれにしてもひどいです。

ところで、間もなくクリスマスですね。
うちには一人ボウズがおりまして、それゆえ他聞に漏れずクリスマスは必須行事です。
独身時代、もしくは子供がいない頃と今では、思えばクリスマスってまったく別物になってしまった気がします。この別物感、ちょっとした驚愕ものです。
なんたって、サンタさんを呼ばなきゃいけないんです、しかも、細心の注意を払って子供に正体を見破られないように。

ふと考えてみると、この細心の注意、僕のオヤジはまったく経験してなかったんだなってことに気付きました。
はい、かつての我が家には、クリスマスという日はあっても、サンタさんは来なかったからです。
一応、毎年恒例のその日の行事のあらましをしたためておくと、工場勤務のオヤジが工場で配られるバタークリーム系のホールケーキを持って帰ってきて、お母さんがとりあえず鶏肉料理でいいよね的な手羽先料理かなんか用意していて、「よし、食うか」となり、食べて終わる、ただそれだけの日なのでした。

最低限子供に聞かれないように家人にそんな思い出話を語ると、心底気の毒そうな声で、「かわいそう」とつぶやかれました。
聞くと、家人の家庭にはきちんと毎年サンタさんが来ていたそうです。

まあ、いいんですけど、僕はアンチサンタ派でもイエスサンタ派でもありません。が、昭和50年代くらいまでに生まれた者の、おおむね半分くらいの家にはサンタさんなんて来なかったんじゃないかという僕の予想に、家人は猛烈に反対し「可哀想な家庭はあなた一人で十分」と言わんばかり。
ちょっと待ってほしい、サンタさんが来ない家庭だからかわそうなわけじゃないぞ、確かにうちの家庭は可哀想な家庭だったが、それはなにもサンタさんが来なかったからじゃない、もっと他に理由があったのだと、あえて抗弁はしませんでしたが、実際気になり始めました。
絶対昭和生まれの半数はサンタさん来ない家庭に育っているという僕の持論が正しいのか、正しくないのか。

と思い立ったのが数日前、ここ数日は家にこもって原稿、それにもともと友人・知人の類が多いタイプでもありません。調査数の少なさはご寛恕願うとして、僕なりにできる範囲の調査を敢行した結果をひとまずここにご報告いたします。

まず、プライバシーの観点から、仮名とさせていただきますが、この人は実名でいいですね。
・弊社代表の関さん(男・昭和49年生)
「サンタさんは来てくれていた。なんならいまもサンタさんはいると思う」
なかなか香ばしい回答で、すがすがしささえ感じるところはさすがです。ひとまず「サンタさんはいた」に一票ですね。

・Fさん(録音技師・男・昭和46年生)
「サンタさん? 来たことないね」
はい、「サンタさんはいなかった」に一票。

・Sさん(映像ディレクター・男・昭和45年生)
「来たことない、というか、クリスマス?なにそれって感じだった」
地方出身で三人兄弟の長男のSさん、僕とかなり境遇が似ているのですが、クリスマスの過ごし方まで似ているとは。「いなかった」二票。

・Iさん(プロデューサー・男・昭和47年生)
「伊勢丹のおもちゃ広告を見て、選んだものに○をつけ、親に渡すと、サンタクロースに伝えてくれて、クリスマスイブにプレゼントを持ってきてくれていた」
なんともシティ派です。はい、「いた」二票。

・お客さんA(たまたま弊社をご訪問された方・男・推定40代)
「小学校三年生くらいまで来てましたね」
「いた」三票。

・お客さんB(同じくお客さんAの御同伴の方・男・推定30代)
「クリスマスの日は親からお金をもらっていました」
うーん……、「いなかった」三票。

・職人さん(弊社事務所外壁工事中の職人さん・男・昭和45年生)
「うちの両親共働きで……、サンタは来なかったですねぇ」
ですよね、ご両親に頭が下がります。「いなかった」四票。

・Tさん(弊社勤務・女・昭和生まれの二十代)
「サンタさんは、小学校三年生の時に、親に虐殺されました。呆然としました」
ん? 詳しく聞いてみると、小学校三年生の時、今年サンタさんは?と聞いたところ、「あんた、まだ信じてんの?」と衝撃的な言葉を投げかけられたとのこと、しばらく呆然と立ち尽くしたそうです。
まあ、状況的には特殊ですが、いいでしょう、「いた」四票。

実行数の少なさは僕の人徳が至らぬとして、ひとまず今回のサンタ実在調査はなんと! 僕の予想がぴったり的中する結果になりました。
だからどうしたというわけではありません。「ほら見たことか」というのも、ちょっとわびしい気がしてきました。

話は変わりますが、子供の頃、なんの本だったか忘れましたが、こんなことを読んだことがあります。
ある統計学者が、神様がいると信じたほうが幸福値が高いか、いないと信じる方が高いかを、いろいろな角度から吟味したところ、神様がいると信じたほうに軍配が上がったとのこと。
なんとなくこれは感覚としてわかるような気がします。
これがサンタとなれば、尚のこと、更に幸福値はあがりそうです。
次回は、ぜひ、サンタがいた方がいいと思うか、いない方がいいと思うか、という調査をしてみようかと思います。

(いながき きよたか)


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