あまちゃん現象


いよいよ年末、待ったなしですね。
僕は、ここにきて年内に間に合わせなければならないお仕事に少々追われております。無事に年を越せるのでしょうか。

さて、そんな日々ですが、ちょいと時間を見つくろって、観てきました。「スターウォーズ フォースの覚醒」。いやぁ、面白かったです。
もともと、スターウォーズ原理主義者ほど、詳しくないですし、わいわい騒ぐと「ニワカ」っぽくて嫌なんですが、でもいいじゃないですか、「ニワカ」でも。
いやいや、そもそも、実は僕、スターウォーズ、結構観てるんですよね、僕が子供のころは、よーくテレビで放映されてました。多分、「ジェダイの復讐」を初めて観たんじゃないかな、それから、4、5と、まあ、順番はでたらめですが、テレビ映画体験なんてそんなもんですし、これはこれでいいのです。

で、「フォースの覚醒」ですが、周囲でただ一人抜け駆けして観に行った感がありまして、全然、語れません。寂しいです。
でも、思い切って、話題に出してみることにしました。

昨日のこと、弊社の関さんと、シゲさんと、なんだか珍しく、仕事を終え、ダラダラと事務所で飲む流れになったのですが、その時のこと。
その日観た『スターウォーズ フォースの覚醒』がいかに面白かったか、語ろうとした矢先、関さんが意外なことを言い出しました。
「俺、スターウォーズ、よくわからん」
「なにー!!!!」ですよ。
「もしかして、観てないの?」
いや、そんなことはないのだそうで、幼少期、テレビから流れているのを眺めたことはあるにはあると……。しかしながら、そこまで思い入れがある様子でもなく。
「いやいやいや、僕だって、別に思い入れいっぱいじゃないよ。けど、面白いじゃん、スターウォーズ、新作観たくない?」
と僕は食い下がりました。
すると、「そういうさ、話題にしないと非国民的な雰囲気が、俺はやだね」と、すげない関さんなのでした。
『まあ、わかる』
観てないと非国民的雰囲気、あるにはある、僕もそれはいやである。しかし、わかるがいかんともしがたいのです、おもろい映画はおもろい、でいいじゃん、世の中の雰囲気とか関係ないじゃん、とも言えないんですかね。

すると、おもむろに口を開いたのはシゲさんでした。
「俺はそれを『あまちゃん現象』って呼んでいる」
また、びみょーに古い見立てが飛び込んできました。いわく、こういうことらしいです。
「あまちゃん、ってあったじゃん」
「ありましたね」
「あまちゃん、超話題になったじゃん」
「なりましたね」
「周りはみんな見てたわけ、で、超盛り上がってたわけ、でも、そんな中、俺、悲しいかな朝ドラ観る習慣がないのよ、だからポツーンなわけよ、まさに『あまちゃん現象』なんだよ。だから、関さんにとってスターウォーズは『あまちゃん映画』ってことなんだよ」
わかったようなわからないような見立てですが、確かに、かくいう僕も当時『あまちゃん現象』に陥っていたので、わからんでもありません。
世間的にものすごく評価が高くて、観てて当り前で、仮に観てないと、差別されるような、でも実は観てない作品って、誰にでもあるような気がします。

そんなこんなで、おっさん三人、雁首そろえて、お互いの『あまちゃん映画』を当ててみようということになりました。
各々の沽券にかかわると思われるので、関さんとシゲさんの『あまちゃん映画』をここにしたためるのは、忌避しようと思う次第ですが、こと僕の『あまちゃん映画』を二人が探り当てる段となり、まーた、関さんが斜め上なことを言い出したのです。

『スターウォーズ』シリーズ。
もちろん観ています。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ。
大好きです。
『インディ・ジョーンズ』シリーズ。
大好物です。
っていうか、普通、その辺が、いわゆる『あまちゃん』なわけじゃないですか、しかし、さあ、僕の『あまちゃん』を探そうとなって、関さんは開口一番、
「『ハムナプトラ』シリーズ!」
あきらかにボケじゃないですよ、真顔で、関さんは、そう言い放ったのです。

『ハムナプトラ』って、『あまちゃん映画』ですかね、異論はあると思いますよ、『ハムナプトラ』面白いと思いますよ、でも、すいません、僕、一本くらい観てはいると思うんですが、そもそもシリーズ何作品あるか覚えてないです。
っていうか、関さんの中で、『ハムナプトラ』シリーズと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズが比肩しているという事実に尊崇の念すら浮かびました。

「ねえ、『ハムナプトラ』シリーズは?」
と、絶句している僕に、かぶせて聞いてくる関さんに、「ごめん、全部観てない、っていうか、覚えてない」と答えると、「きよたかの『あまちゃん映画』みぃつけた!」と、得意げな関さん、続けて、「『ポリス・アカデミー』シリーズは!」
ゴメン、三本くらい観てるけど、ほんとゴメン、それ、『あまちゃん映画』じゃない気がする。
っていうか、そもそも、このゲームのルールが、関さん、見えてない気がする。
そもそも、『あまちゃん映画』なわけですよ、世間的に評価が高くて、マジョリティを獲得していて、観ていないと差別されかねない作品なわけですよ。
あの、おバカお下品コメディ『ポリス・アカデミー』って、観てないと差別される映画ですか、確かに、面白かったですよ、でも、世間的に評価が高いかどうか……(ちなみに、僕はとっても好きでした。でも、作り手には申し訳ないですが、志が高い作品、というよりは、ノリで作ってる感じだし)、それに、マジョリティ獲得していますかって話ですよ。
そのあとも、「ホームアローン」だの、「13日の金曜日」だの、挙げ句の果てに、「クロコダイル・ダンディ」シリーズ!、散々、(これらの作品も、大好きですが、『あまちゃん映画』じゃないという意味で)斜め上の発言を関さんは続けたのでした。

ちなみに、その後、『実は観てない映画』話に花が咲き、シゲさんが、実は、邦画クラッシックを相当数観ていることが判明したり、僕の不勉強ぶりが露呈し、ふがいない思いをしたりと、夜更かししながら、なんとなく、だんだんと年末気分が盛り上がってまいりました。
みなさんは、どう年末を迎えるのでしょうか。なにはともあれ今年もいろいろとお世話になりました。また、来年もご愛顧のほどよろしくお願いいたします。


(いながき きよたか)




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